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中高生のエイズ/蔓延防止へ自己抑制教育を

2004/10/25(月) / 一般

厚生労働省エイズ動向委員会(委員長、吉倉広・前国立感染症研究所長)のまとめで、中高生ら若年層の間にエイズウイルス(HIV)が蔓延(まんえん)している恐れがあることが判明した。二十代前半の新規患者が急増しており、同委員会は「十年前後の潜伏期間を考えると中高生時代に感染した可能性がある」とみている。

2期連続で過去最高更新
同委は、三カ月ごとにHIV感染者数やエイズ患者数をまとめている。今年九月までの三カ月間に、国内で新たに報告されたHIV感染者は二百九人、エイズ患者は百二十六人。これまでの四半期ごとの最多記録を、それぞれ十人、二十人上回った。
過去最多はいずれも前回の数値で、二期連続で過去最高を更新した。これは、急激に増加する予兆とみられている。しかし、「日本は先進国の中で唯一、エイズ患者数が増加している国」との汚名を着せられながらも、抜本的な対策は講じられないままだ。

厚労省は二十代前半の正確な患者数を公表していないが、吉倉委員長は「過去最高で、かなり目立つ数字」と指摘。「中高生の間に想像以上にHIVが広がっている可能性があり、若齢者の感染動向の監視を強化すべき」だと警告している。

現在、わが国では、中高生で性交渉体験者が急増中だ。東京都によると、都内の中高生の性行為経験率は〇二年で、中学三年男子12・3%、同女子9・1%、高校三年男子だと37・3%で、同女子は45・6%にも上っている。

女生徒の増加が目立ち、一九九〇年と比べると、中三、高三の女子はともに約二・七倍に急増した。十九歳以下のクラミジアなど性感染症は、女子では約二倍になり妊娠中絶も増加傾向にある。

東京都では、こうした状況に対処するため、先月、「青少年の性行動について考える委員会」(座長、加藤諦三・早大教授)の議論を開始した。今回のエイズ動向委のまとめは、この問題に対する効力ある措置が急がれることを示している。

また、日本人のHIV感染者数は同性愛者の性的接触によるものが激増しており、男女間の性的接触による感染数を上回る傾向にある。患者数は首都圏や東海で急増している。

性の乱れはHIV感染者急増に直結しており、東京都の「委員会」が出す方針が地方に与える影響は少なくないだろう。

これまで大人と子供を同列に並べ、無責任な社会学者やジェンダーフリー論者が、女性の「性の自己決定権」を強調し、マスコミもそれを無批判に報道してきた。

一方米国では、コンドームによる避妊教育よりも、結婚まで性交渉を控える自己抑制教育プロクラムが注目され、政府も多額の予算を投じてこれを支援している。

わが国では依然としてコンドーム教育ばかりが声高に唱えられている。コンドームは避妊にある程度の効果はあるが、HIVの感染予防の効果は乏しいといわれる。自己抑制教育に取り組む以外に効果的な選択肢はない。


有害環境対処に法制定も
加藤座長は「性は本来、公権力がタッチすべきでないが、このまま放置すれば十年先には大変なことになる」と警告している。性の問題でまず大人が襟を正し、青少年の有害環境を取り締まる法制定も急ぐ必要がある。
政府は、早急に総合的な措置を講じ、乱れがちな社会の秩序を立て直すなかで、自己抑制教育の効果をあげていくべきだ。

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